大王製紙 新素材CNF試験生産
大王製紙(愛媛県四国中央市)は9日、植物由来の新素材セルロースナノファイバー(CNF)を試験生産するパイロットプラントを同市三島紙屋町の三島工場内に設置し、稼働を始めたと発表した。工場で生産するパルプからCNFを製造する最適な過程を研究し、低コストの製造方法確立を図る。2020年に商業プラントを建設し、事業化を目指す。
発表によると、パイロットプラントは4月から稼働しており、CNF生産能力は年間最大100トン。投資額は3億円超。
CNFは紙原料のパルプなどをナノレベルまで細かく解きほぐしてつくるが、実用化には製造コストの大幅低減が課題。現在は1キロの製造に数千円かかるといい、国は20年に1000円、30年に500円に下げる目標を掲げている。
大王は、薬品などを用いた前処理工程をプラントに追加設置し、電力だけでほぐす従来方法に比べエネルギー使用量を10分の1に削減する実証を6月に始める予定。樹脂やゴムなどに混ぜて使うのに適したドライパウダー状CNFの供給に向け、17年春に乾燥設備も設置する計画だ。